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zoom RSS ウルムチ滞在で見たもの

<<   作成日時 : 2009/07/08 02:24   >>

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7月5日夜、新疆ウイグル自治区のウルムチ市で暴動が発生し、多数の死傷者が出ているというニュースを、私はインターネットでいち早く知った。7日朝の時点で死者156人、負傷者1,000人を超え、1,400人以上が現地公安局に拘束されたという。この暴動の背景には、先月26日、広東省の玩具工場で漢民族とウイグル人従業員の間で乱闘騒ぎがあり、ウイグル人2名が死亡したことがあるらしい。

ウイグルは中国の最西端に位置し、中国内の省・自治区で最大の面積を持つという。(日本の4.5倍。ただしその4分の1は砂漠)日本ではウイグルというより、高級綿として知られる新疆綿のほうになじみがありそうだ。その新疆ウイグル自治区の省都ウルムチ市と、東南方向へ183キロメートル離れたトルファンに私が行ったのは、2003年夏のことだった。

ウルムチ市に自宅のあるウイグル人留学生(Aさん)と知り合い、帰省するのでぜひと誘われ、喜んで一緒について行った。上海で国内線に乗り換え、西へ西へと約5時間。山河やタクマラカン砂漠を超え天山山脈の雪をいただく峰を見おろしながら、やっとウルムチ到着。北京の標準時間より2時間遅れの現地時間で、人々は生活していた。

海から最も遠い内陸の街、ウルムチ市は、公表では人口約185万人の大都会。高層ビルが林立し、片側3車線の幹線道路はバスや車でいっぱい。自家用車はまだ少なく、列をなして走っていたバスの運転手さんは女性が多かった。自転車に乗っている人など1回見ただけ。バイクが走ってないのを不思議に思って聞くと、事故が多すぎて市内はバイク禁止だという。

滞在最後の早朝。まだ薄暗い交差点で、赤信号で止まっている車、信号無視で走り去る車、ライトをつけないで走る車。何でもありだった。デパートに入るとあちこちに「痰を吐くな」の張り紙。店員さんは無愛想で、代金をお札で払うとすぐさま透かして見て、さらに機械にかけて本物かどうか調べる。偽札が多いのだろう。

タクシーに乗ると運転席と後部座席が完全に鉄板で仕切られていたので、びっくり。強盗対策らしいが、運転席の後ろの一部だけが金網になっていて、そこから代金を払った。車内はおせじにもきれいとは言えず、錆びた鉄板と金網が目の前なので、何やら護送されている気分だった。

しかし悪いことばかりではない。50年ほど前まではイスラム教の影響で、ウイグルの女性は男性と同席することはなく、常に控え目な存在だったという。現在は女性の社会進出も進み、女性の地位は大いに向上したと年配の女性たちは語ってくれた。ウイグル人はほとんどウイグル自治区に住み、その数約880万人。大多数が農業に従事しているという。だからウイグル族の伝統的な生活を知るには、ウルムチではなく、トルファンやカシュガルなど農村地帯へ行ったほうが良い。

新疆ウイグルはウイグル族のほか少数のカザフ、キルギス、タジキスタンなど多くの民族からなり、彼らはトルコ系の民族なので顔だちが漢民族とは全然違う。ウイグル民族は独自の文化と言葉と文字を持ち、中国語も話す。宗教はイスラム教なので豚肉は食べない。しかしウルムチ市内では女性のスカーフ姿は見なかったし、服装も私たちと何ら変わらなかった。いま思えば、ウイグル人そのものが少なかったということだろうか。

1週間の滞在中、私はAさんがふと漏らした、ウイグル人は漢民族と同化しないという意味のことを、ずっと考えていた。現在ウイグル自治区全体では、ウイグル人と漢民族の人口はほぼ同じらしいが、ウルムチ市の人口の7割は新中国になって流入した漢民族であり、経済も9割を占めるという。それに対し市内のウイグル族の人口は1割強。市役所や企業などの主なポストは漢民族で占められ、大学を出てもウイグル族にはよい就職口もチャンスもないという。だから日本まで勉強に行ったのだとAさん。

中国人として日本に留学しているAさんは、中国の悪口などもちろん言わない。けれどウイグル人としての誇りと、中国人の一員であることの間には、私などの理解の及ばない複雑な、見えないバリアが存在するのではないか。今回の暴動を知って、私はまっさきにそのことを思い出した。同時に大都会上海の生活と、トルファンの農民のつましい暮らしとの100年はあろうかと思える落差もまた、中国の現実だったことを思い出した。

  ※詳しくはホームページの「ウルムチ・トルファン紀行」をどうぞ。
  写真もアップしています。
    http://www5a.biglobe.ne.jp/~takeko/uiguru.htm



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