一樹の蔭、一河の流れ

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zoom RSS 人生のスパイス

<<   作成日時 : 2017/06/08 15:14   >>

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先月も蛍に関する俳句やエッセイを取り上げて書きましたが、なぜかまだ蛍のことが書き足りなくて、今回も蛍に関する俳句を鑑賞したいと思います。というのも、わたしはずっと以前から、短歌よりも俳句のほうに惹かれてきました。あの17文字という短さの中に、無限大の宇宙というか表現を取り込むことのできる俳句の世界に、憧れるのです。

最近知人に誘われて、とある先生の俳句の教室を見学に行き、俳句の歴史や現代俳句というものについてレクチャーを受けて、とても勉強になりました。俳句には大きく分けて、季語を入れる有季俳句と、季語を入れない無季俳句があり、最近は自由律俳句もあると知ったのは収穫でした。

それはさておき、ここに紹介するのは「蛍」が登場する俳句です。わたしの手元にある句集の中から選びました。作者名のあとに、その人の生年と没年を示しますので、作句のだいたいの時代が分かると思います。

・手のうえにかなしく消ゆる蛍かな
        向井去来(1651〜1704)

・梧(きり)の葉に光広げる蛍かな
        服部土芳(どほう)(1657〜1730)

・直(すぐ)に来た池の蛍や縁の露  
        内藤丈草(じょうそう)(1662〜1704)

・うつす手に光る蛍や指のまた
        炭(たん)太祗(たいぎ)(1709〜1771) 

・さびしさや一尺消えてゆくほたる
        立花北枝(ほくし)(?〜1718)

・子は寝入り蛍は草に放ちけり
        正岡子規(1867〜1902)

・蛍這(は)へる葉裏に水の迅さかな
        長谷川零余子(れいよし)(1886〜1928)

・親一人子一人蛍光けり
        久保田万太郎(1889〜1963)

・光洩るその手の蛍貰ひけり
        中村汀女(1900〜1988)

・銀行員等朝より蛍光す烏賊(いか)のごとく
        金子兜太(とうた)(1919〜 )

これらの句は江戸時代初期から現代まで、300年以上の時間の幅があります。時代は江戸から明治、大正、昭和、平成と移り変わっていますが、蛍はむかしのままでしょうし、蛍に対する日本人の感受性も、ここにあげた俳句をみ
る限り、そんなに変化はないように思います。

この300年以上にわたる時代の流れで、わたしたちを取り巻く生活様式や文物やインフラ等は、雲泥の差といえるほど発達し、変化しました。しかしそんな中で変わらぬものがあるとしたら、四季の変化を楽しみ、愛で、自然との関わりを大切にする日本人の感受性が、いまも保たれていることではないでしょうか。

俳句から季語をなくした無季俳句が進むと、川柳と同じといわれ、さらに五七五にとらわれない自由律俳句でいいじゃないか、という人も出てくるそうです。日本古来の詩歌の伝統を受け継いで成立した俳句ですが、素人でも簡単に作れることから、≪大家と素人の区別もつかぬ第二芸術に過ぎない≫(桑原武夫)という、否定的な意見もあります。

しかし日本語の持つ五・七・五のリズミカルな泊を活かして作る俳句や川柳は、誰でも作れるところがミソだと思います。某保険会社が毎年行う「サラリーマン川柳」は第30回を迎えるそうですが、芸術性云々よりも、気軽に作って楽しんで人を笑わすことができる点で、支持を得ているのだと思います。五七五は人生を楽しむ、素敵なスパイスになり得るのではないでしょうか。

  ※引用文献 『名俳句 1000』佐川和夫篇
         彩図社 平成14年2月1日発行

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