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<<   作成日時 : 2012/07/11 02:02   >>

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前回は「心というものは、どこにあるのか」について、日頃考えていることを書いた。メールマガジンを配信後、さっそく数名の読者さんからメールをいただいたが、その1つに≪「こころ」を哲学したところで、「身体」の考察はいかが≫というご意見があった。

その取っ掛かりとして、某新聞に掲載されていたという「腹の虫の正体」を探った本の紹介記事が引用してあった。前回、心のある場所については、必ずしも自分の体内のどこかにあるのではなく…というようなことを書いた。ところが「腹の虫」は体の中に棲む虫。面白そうなので今回はその話題。

福岡県太宰府市にある九州国立博物館に『針聞書』(はりききがき)という戦国時代の医学書が収蔵されており、この春、その原本が展示されたそうだ。それには「腹の虫」が図入りで載っているという。知っていたら見に行ったのに残念、と思ったら、博物館のホームページに紹介されていた。

「心」に関する日本語がたくさんあることは前回紹介したが、「腹の虫」も負けてはいない。「虫がいい」「虫が好かない」「虫が納まる」「虫が知らせる」「虫が付く」「虫が取りのぼす」「虫気」「虫こなし」「虫ずが走る」「虫の居所が悪い」などなど、人間感情に密着した言葉の多いこと。

『針聞書』は永禄11年(1568)、織田信長の時代に摂津の国(今の大阪府)に住んでいた茨木元行という人が書いたもので、4部構成になっている。その内容を博物館のホームページから要約すると、

1.針の基本的な打ち方、病気別の打ち方などを記した聞き書き。
2.鍼灸図。中風・脚気など病気別の鍼灸(しんきゅう)の箇所を示
  したもの。
3.虫の図63点。病気を起こすと考えられた想像上の虫の図が上段
  に描かれ、下段に虫の特徴や治療法が記されている。
4.臓器や体内を人体の側面から描いた図、五臓六腑のみ描いた図
  などがあり、道教の影響や、実際の解剖に基づいて描かれた可
  能性がある。

問題は3番目の「虫の図」、なんとカラーで描かれている。姿かたちがユニークで、まるで見て来たように描いてあり、水木しげるの「妖怪」たち顔負けの多種多彩な人材…じゃなく虫材ぞろい。壮観な眺めである。名前もちゃんとあって、博物館のキャラクターグッズとして販売されているという。

『針聞書』は、中国で作られた東洋医学が古くから日本に輸入され、その中で鍼灸が日本で発展してきたことを示す内容で、特に虫の図は当時の人々の病気に対する考えが分かる貴重な資料だという。病気の原因となる「腹の虫」を、具体的な証拠で示した本である。

中国の道教思想に三尸(さんし)という、人の腹中に棲んでいるといわれる3匹の虫の話がある。庚申(こうしん)の夜、睡眠中に天に昇り罪悪を告げるというので、江戸時代、体から虫が出ると困る人々はこぞって徹夜したそうだ。『針聞書』には「ぎょうちゅう」として紹介され「庚申の夜に体より出て閻魔大王にその人の悪事を告げる虫」と説明が付いている。

ほかに、馬カン=心臓にいる虫。肝しゃく=肝臓にいる虫。肝虫=背骨のある寄生虫。陰虫(かげむし)=男女和合の時に出る虫。コセウ=物を言う虫。脾しゃく=脾臓にいる虫、甘い物が好きで歌を歌う。等々。腹の虫を解明し、退治したい情熱が書かせた444年前の珍しい「医学書」。その中の腹の虫の絵をモデルにした九州国立博物館で販売中のグッズは下記を参考に。

 ※http://www.kyuhaku.jp/collection/collection_harikiki-2.html

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