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help リーダーに追加 RSS 21世紀農場 谷口巳三郎先生に聞く

<<   作成日時 : 2008/10/15 01:35   >>

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私は現在、鹿児島大学の近くに住んでいる。その鹿児島大学では「国際協力農業体験講座」が開講されていて、毎年秋に講座の学生さんたちが受講の仕上げとして、タイとミャンマーへ2班にわかれ10日間程度の研修に出かける。講座名が「国際協力農業体験」というだけあって、21世紀農場や高地少数民族の村に滞在し、農作業や村の人々との交流が行われている。帰国後は毎年学生たちによる「帰国報告会」が行われる。

現在のタイやミャンマーなど、政情不安定な国に学生が行ってそれなりの研修ができるのは、しっかりした受け入れ側があってこその話。ミャンマーでは佐賀市に拠点を置く「地球市民の会」、タイでは谷口巳三郎先生の「21世紀農場」が毎年学生を引き受けておられる。講座開始から今年は10周年記念ということで、先日帰国報告会に合わせて講演やシンポジウムが開かれ、私も聞きに出かけた。

というのも谷口先生がタイから来られて、講演されると知ったからだ。谷口先生は大正12年生れの今年85歳。体重45キロの痩身ながら背筋はシャンと伸び、筋金入りとはこういう人だと一見して理解できる風貌。以前にも書いたことがあるが、谷口先生は熊本県立農業大学校教官を定年退職の翌年、退職金半分とスーツケース1つ持って、農業技術指導と農村青少年教育の大志を抱いて1983年2月単身タイへ移住。

以来25年、奥さんは日本で募金活動を、谷口先生は個人のプロジェクト農場として、北タイのチェンマイをふり出しに農場適地を求めて7度場所をかえ、1991年現在地のパヤオ県サクロー村に「21世紀農場」として定着。25ヘクタールの農地には果樹、水田、畑地、養漁場、竹林等があり、堆肥を作り、宿舎や学生寮を備えて、完全有機農業と循環型農法で農場を運営されている。

当初、タイ農村の青年少年たちを寮に住まわせ農業後継者の育成から始まり、現在はエイズ患者・家族支援、少数民族の教育・農業支援、植林による緑化活動などを行い、日本から毎年農民や大学生・高校生・中学生など年間150名ほどを受け入れ、研修もされている。鹿児島大学の学生たちもその一部で、生きる目的が見つからず日本で漫然と学生生活を送っていた学生が、研修中に、学ぶという態度から実践するということへ劇的に変化する、と聞いた。

タイでやってきたことは、誰に頼まれたのでもなく、誰に来てと言われたのでもなく、何かバックがあったのでもなく、常に「ねばならない」という信念でやってきた、と谷口先生。現在、21世紀農場で育ったタイの教え子たちが、高地民族の子どもたちの寮や研修農場を開設したり、21世紀農場の活動はタイ以外にラオス、ミャンマー、カンボジアにも広がっているそうだ。

また、縄の作り方は20年前から、タイには米を入れる竹製のザルがないのでザルの作り方を15年前から指導しているが、とうとう定着しない。異文化の中に新しい文化を移入するのはそれほどに難しい、という話もあった。この25年の出費を計算すると、2億7千万円のお金をタイの農村のために使った。それは日本の2つの団体の募金によるもので、タイからはお金は全然貰っていない。でもお金を持って行けば成功するかといえば、そんなことはないと谷口先生。

なぜ谷口先生は退職後に残る人生を投げ打って、そこまでされるのか。いかに信念が強く自己実現の道を邁進するといっても、何が谷口先生をそこまで駆り立てるのだろうと私は思っていた。今度聞いた話では、谷口先生は学徒動員で、爆弾と片道燃料を積んだ小舟で敵艦に体当たりする訓練をうけ、フィリッピンに送られる途中2度敵の魚雷攻撃を受けた。しかし1度は的中したものの不発弾で、2度目も難を逃れ、生き残られたという体験をお持ちだった。

だから武力で解決しようとする限り、平和は来ない。日本のような法律を世界で作ればやっと平和が来る。自分はそれを農業を通して実践してきた、と。研修に行った学生が谷口先生の言葉を紹介した。タイの農村にあまりにもゴミが散らかっていて戸惑っていると、谷口先生は「汚いですね。全部拾ってはきりがない。私は1日10拾っています」と。つまり自分のできることから、国際協力でもボランティアでもすればいいのだと、学生は理解していた。

コメ・トウモロコシ・小麦の三大穀物の収量は1988年にピークになり、それ以上は望めなくなっている。それなのに世界の総人口は66億人余で毎年爆発的に増えている。いま地球上には10億の餓えた人がいる。その中を若い皆さんは生きていかなければならない。日本は食料の大半を世界中から輸入している。だからメコン川流域でコメを作らせアジアに広げているのは、彼らが貧しいから助けるのではない。日本のためである。私の志はまだ50%しか達成していない、と。谷口先生の志の深さは半端ではない。

 ※谷口「21世紀農場」支援の2つの団体、他
     「タイとの交流の会」 http://www.tt-p.tv/taniguchi/
     「北部タイ農業振興会」
      蓮華院(熊本県玉名市)    

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは武子さん。この記事も共感いたします。
谷口先生、どこかで耳にした事があります。同じ様に80歳を越えて外国で活躍なさっている方に永田農法を編み出した永田先生がいると記憶していますがこの方はモンゴルで米の栽培を可能に出来るよう研究、実践されているようです。
生かされている恩。自分も大切にし、何かの形で返して生きたいと思います。
sato
2008/12/10 23:00
satoさま、コメントありがとうございました。
私も自分のできるささやかなことをと思い、谷口先生の活動を多くの方に伝えたくてエッセイに書きました。satoさまのそのお気持、嬉しいです。ぜひそうなさってください。
武子
2008/12/11 22:49

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